宇宙人との遭遇

宇宙

 1973年12月13日の朝、私は、クレルモン・フェランを見みお下ろす火山の中へ入って行きました。突然、霧きりの中に点滅する赤い光が見え、ヘリコプターのようなものが私の方に下降して来ました。ヘリコプターなら音を立てるはずですが、全く何の音も、微かな風切り音でさえも聞こえませんでした。気球なのだろうか?その機体は地上から20メートルほどの高さになり、平らな形をしているのが見て取れました。空飛ぶ円盤だ!

 直径は7メートル程度で、底部が平らであり、上部は円錐形をしていて、高さは2.5メートルほどでした。底部には強烈な赤い光が点滅し、頂部にはカメラのフラッシュのような白い光が、パッパッと煌めいていました。その白い光はとても眩しくて、目を細めずには見ていられませんでした。

 機体は全く何の音もなく下降を続け、地上2メートルくらいのところで静止しました。私は驚きのあまり、その場に立ちすくみました。恐怖を感じたのではなくこのような瞬間に居合わせることができた喜びで、胸がいっぱいになったからです。ただ、カメラを持って来なかったことがとても残念でした。

 それから、信じられないようなことが起こりました。機体下部の上げ戸が開き、タラップのようなものが地面まで下ろされたのです。何か生き物が出てこようとしているのが分かりました。私は、それがどんな外観をしているのだろうかと自問しました。

 まず二つの足先が見え、さらに二本の脚全体が見えました。それで私は、おそらく人間が出てくるのだろうなと思って、やや安心しました。私が最初は子供だなと思ったその人物は、ついに姿を完全に現して、タラップを降りて、私の方に向かってまっすぐに歩いて来ました。

 その人物は、1メートル20センチ前後の身長にも関わらず、子供ではないことが分かりました。目はやや切れ長の目をしており、髪は黒くて長く、短くて黒いあごヒゲを生やしていました。彼は私から10メートルほど離れたところで、立ち止まりました。私は、身動きひとつしませんでした。

 彼は、からだ全体を包む緑色の繋ぎを着ており、頭は大気に晒されているようでしが、その周りを不思議な後光のようなものが取り囲んでいました。本当は後光ではないのかもしれませんが、顔の周りの空気がわずかに輝いて、振動しているようでした。それは目に見えない保護物のような、とても細かくて、ほとんど見えないような泡のようなものでした。皮膚は白く、やや緑がかっており、肝臓の悪い人の肌のようでした。

 彼が少し微笑んだので、私もお返しに微笑むのが一番良いだろうと考えました。少し気まずい状況でした。私は微笑み、挨拶するように頭を軽く下げました。彼も同じような身振りで応えました。私は、こちらの言うことが分かるのかどうかを確かめなければと思って、彼に話しかけてみました。

──どこから来たのですか?

 彼は力強い声で私に答えました。やや鼻に掛かってはいましたが、ハッキリとした発音でした。
「とても遠くから」

──フランス語を話すのですか?

「世界中のあらゆる言語を話せます」

──ほかの惑星から来たのですか?

「はい」彼は答えました。
 彼は話しながら、私から 2 メートルのところまで近づいて来ました。

──あなたが地球に来たのは、これが初めてですか?

「いいえ、そんなことはありません!」

──しばしば訪れているのですか?

「大変しばしば、──それでも言い足りません」

──なぜ来られたのですか?

「今日は、あなたと話すためです」

──私と?

「ええ、クロード・ボリロンさん。カー・レースの小さな雑誌の編集者で、結婚していて、ふたりの子供の父である、あなたとです」

──どうして、そんなに、よく知っておられるのですか?

「私たちは、ずっと以前から、あなたを観察していましたから」

──なぜ私を?

「正にそのことを、これからお話ししたいのです。冬のこんな寒い朝に、あなたはなぜ、ここに来たのですか?」

──さあ……。野外をちょっと歩き回りたいと思いましたので……。

「ここへは、よく来るのですか?」

──ええ、夏には。でも、この時期には殆ど来ることはありません。

「それなら、今日はなぜ? 今朝の散歩は、ずっと前から計画していたのですか?」

──いいえ、分かりません。今朝、目が覚めたら、急にここへやって来たくなったのです。

「私があなたに会いたいと思ったから、あなたはここに来たのです。あなたは、テレパシーを信じますか?」

──ええ、もちろん。テレパシーにはずっと関心がありましたし、いわゆる〝空飛ぶ円盤 〟についても、あらゆることに関心がありました。でも、私自身がそれを見るなんて、思いもよりませんでした。

「なるほど。あなたに話したいことが沢山あるので、私はあなたをここに来させるために、テレパシーを使ったのです。あなたは聖書を読んだことがありますか?」

──ええ。でも、なぜそんなことを聞くのですか?

「聖書はずっと以前から読んでいましたか?」

──いいえ。ほんの数日前に買ったのです。

「なぜですか?」

──分かりません。急に読みたくなったのです。

「それもテレパシーで、私があなたに、聖書を買わせたのです。私は、あなたをとても困難な使命のために選びましたので、あなたに話したいことが沢山あります。私の宇宙船に来て下さい。そこの方が、話がしやすいでしょう」

 私は彼に従って、宇宙船の下にある小さな階段を上がって行きました。その宇宙船は間近で見ると、平たくした鐘に似ていて、下側の全面が膨らんでいました。内部には、二つの椅子が向かい合わせになっていて、ドアを閉めなくても、温度は心地よいものでした。明かりは無いものの、あらゆる方向から自然光が差し込んでいました。飛行機の操縦席にあるような計器類は、どこにも見当たりません。床は青味を帯びた艶のある合金でできていました。

 私が座った椅子の方が大きくて低く、無色でやや透き通っていて、とても座り心地のよい単一の材料でできていました。その椅子に私が座ると、その小さな男性は、私と向かい合って同じような椅子に座りました。その椅子は小さいけれども高く、小さな男性の顔が、私の顔の位置と同じ高さにありました。

 彼が壁の一部に触れると、床と頂部を除いて機体は透明になりました。まるで屋外にいるようでしたが、心地よく暖かでした。彼は私にコートを脱ぐように勧め、私がそうすると、彼は話し始めました。

 「あなたは、カメラを持って来なかったことを、とても残念がっていますね。私たちの会見を全世界に知らせる際に、その証拠にしたいのでしょう?」

──ええ、もちろん……。

 「いいですか、地球人がどういう者であり、そして、私たちがどういう者であるかについての真実を、人々に告げるようにして下さい。人々の反応を見れば、私たちが人々の前に自由に、そして公式に姿を現すことができるかどうかが分かります。

 あなたが公的に話をする時には、あなたの言うことを信じない人々に正しく対処し、彼らに反駁できない証拠を示せるように、すべてを知る必要があります。それまでは待つのです。私の話すことをすべて書き留めて、それを本として出版するのです」

──あなたがたは、どうして私を選んだのですか?

 「理由はたくさんあります。まず第一に、新しい考えが歓迎され、またそれを、表現することのできる国に住んでいる人が必要です。フランスは民主主義が誕生した国ですし、自由の国として世界中に知られています。

 また知性的で、あらゆることに、とても心が開かれている人が必要でした。何よりも、自由な考えを持ちながら、反宗教的ではない人が必要でした。あなたは、お父さんがユダヤ人で、お母さんがカトリックの教徒です。ですから、あなたは世界の歴史の中でとても重要な、二つの人々の間の理想的な絆なのです。

 また、あなたの活動は、信じられない啓示を行う、といった類のものとは全く関係がありませんので、あなたの発言には信憑性が増すでしょう。あなたは科学者ではないので、物事を複雑にしないで簡潔に説明もしますから。また文筆家でもないので、ほとんどの人が理解できないような、難しい文章を書くこともないでしょう。

 1945年に最初の原爆が投下されたあと、私たちは誰かを選ぼうと決めました。あなたは1946年の生まれですね。私たちはあなたの誕生、そしてそれ以前からも、ずっとあなたを見守ってきました。私たちがあなたを選んだのは、こういうわけです。ほかに何か質問がありますか?」

──あなたは、どこから来られたのですか?

「遥か遠くの惑星からです。この惑星については、お話ししません。地球人が賢明でない場合、私たちの平穏が乱されますから」

──その惑星はとても遠くにあるのですか?

「とても遠いです。その距離を言えば、あなたがたの現在の科学技術では、とうてい行けないことが分かるでしょう」

──自分たちのことを何と呼んでいるのですか?

「私たちは、あなたがたと同じ人間です。住んでいる惑星も地球に似ています」

──地球まで来るのに、どのくらいの時間がかかるのですか?

「そのことを考えている間に来てしまいます」

──どうして地球を訪れるのですか?

「人間の進歩を観察し、彼らを見守るためです。人間には未来があります。私たちは過去の者です」

──あなたがたの惑星には、大勢の人たちが住んでいるのですか?

「地球人より多いです」

──あなたがたの惑星に行ってみたいのですが、可能でしょうか?

「いいえ、そもそもあなたは、そこでは生きていられないでしょう。大気が地球とは全く違っていますし、あなたは宇宙旅行のための訓練を受けていませんから」

──私たちの会見を、どうしてこの場所にしたのですか?

「火山の噴火口は、迷惑な人たちの目を避けるためには、理想的な場所だからです。

 それでは、私は帰りましょう。明日、聖書と筆記用具を持って、同じ時間に来て下さい。金属製のものは一切、持って来ないようにして下さい。また、この会見については誰にも話さないようにして下さい。もし話をしたら二度と会うことはできません」

 彼は、私にコートを渡しました。私は小さな階段を下り、彼は、私に手を振りました。階段はたたまれて、何の音も立てずに上げ戸が閉められ、微かな音もなく、ピューッというわずかの音もなく、機体は400メートルぐらいの高さまでゆっくりと上昇して、霧きりの中へと消えていきました。

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GORO

GORO

プログラマー歴40年、63歳、上場会社で嘱託社員として働いています。直腸癌にて癌摘出手術を行い、人工肛門、ストマ生活、閉鎖、脱肛、便失禁となりました。

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